私は2001年に国の政策として行われた「IT講習会」の講師を務めました。受講者には高齢者も多く、12時間ぐらいの講習ですぐパソコンを使えるというわけにはいきません。そこで第1回目の最初に必ず言うようにしていたのが、こんなことでした。
「パソコンは初めて使う人が簡単に操作を憶えられるようには出来ていません。一度聞いたこともすぐ分からなくなってしまうことが多いので、何度でも同じ事を訊いてください。本来、Windows というのは、人が直感的に操作できることを目的として作られたソフトなので、すぐに分からなかったり、操作を忘れてしまったりするのは、皆さんが悪いのではなく、そんな風に作った奴が悪いのです。」
さて、日本ではすこぶる評判が悪い「Windows Vista」ですが、Microsoft の技術者がこうした問題意識を全く持っていなかったことが、その最大の理由であると私は思います。Windows XP のユーザーが戸惑うほどインターフェイスを変える事に必然性があったとは思われません。
世界中に何十億といるWindowsユーザーが「あれ前にこのあたりにあったメニューはどこに行ってしまったんだろう?」といったように迷って、少しずつ時間を無駄にしているはず。それを累積して計算すると、その損失はとんでもない金額になってしまうことでしょう。事実上の独占企業のこうした暴挙は、史上最悪の経済犯罪といえるのではないか?そんな風に思っているのは私だけでしょうか?