日経BPの記事「市場半減!〜成熟社会化による“モノ消費”の崩壊」は、日本人が「いかに消費しなくなったか」ということを、数字をあげて指摘しています。「内需拡大」が言われて久しいのに、実際には景気が良いと言われていた時期にも、国内消費は減少傾向が続いていたのです。自分の場合を考えてみても、これを買いたい、こんなことに使いたいということは、すぐには思いつきません。最近は子供たちも祖父母あたりに「何が欲しい?」と聞かれても、「別に…」と答えるなどということも聞きます。
このことからも定額給付という政策が、いかにピントはずれかということが言えると思います。政治家や官僚たちがお金の使い方が分からないから、責任を放棄して国民に下駄を預けたと批判されても仕方ないところでしょう。週末の高速道路はどこまで走っても1,000円というのも、かなりずれています。若者の車離れが進んでいることは明らかで、昔のようにドライブをレジャーとしてとらえる人は少なくなっているので、利用者がぐっと増えるということはなさそうに思えます(CO2削減が求められている時代の政策とは思われないというのもありますが)。
私には、国民が無駄な消費をしなくなったことが、悪いことであるとは思えません。前述の記事にあるように、多くの国民はお金を使うことに喜びを感じなくなっている。政治には「昔みたいにお金を使いましょう」と煽るのではなく、閉塞感から脱却する方向性を示すことが望まれます。できるだけ多くの人が毎日の生活に充実感を感じられる社会を日本全体として目指すべきでしょう。今のアメリカを見ていると、日本より20年あとから追ってきているようにみえます。新しい時代を拓く可能性が高いのがどちらなのか?私は意外に楽観的で、今の政治が時代について行けずに混乱していることも、いい結果に結びつきそうな気がしています。